プチプチとした不思議な野菜 アイスプラントの魅力と簡単活用レシピ
スーパーで見かける「これ何?」な野菜、アイスプラントの正体
スーパーの野菜売り場で、葉っぱの表面に水滴のようなキラキラとした粒がたくさんついた不思議な野菜を見かけたことはありませんでしょうか。見た目から「これは一体何だろう」と、手に取るのをためらってしまう方もいらっしゃるかもしれません。このユニークな野菜こそが「アイスプラント」です。
この記事では、アイスプラントがどのような野菜なのか、どのように選んで保存し、家庭で美味しく活用するためにはどうすればよいのかを詳しく解説いたします。この記事を読めば、アイスプラントへの疑問が解消され、安心して食卓に取り入れられるようになるでしょう。
アイスプラントってどんな食材?
アイスプラントは、南アフリカ原産の多肉植物で、その名の通り「氷の植物」を意味する「Ice Plant」が由来です。葉や茎の表面にある水滴のような粒は「ブラッダー細胞」と呼ばれるもので、塩分を貯蓄する役割を持っています。この細胞がキラキラと光り、見た目にも涼しげな印象を与えます。
- 見た目: 葉は肉厚で、その表面全体に氷の粒のような透明なツブツブ(ブラッダー細胞)がついています。
- 味: ほんのりとした塩味と、かすかな酸味があります。この自然な塩味が特徴です。
- 食感: 生で食べると、ブラッダー細胞がプチプチとはじけるような、独特のシャキシャキとした食感が楽しめます。
- 香り: ほとんどありません。
- 旬: 主に冬から春にかけてが収穫のピークですが、近年はハウス栽培も盛んで一年を通して手に入れることができます。
- 栄養価: カリウム、マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。また、イノシトールやピニトールといった健康維持に役立つ成分も含まれていることで知られています。
アイスプラントの選び方・保存方法・下処理
アイスプラントを美味しく食べるためには、適切な選び方と保存方法、そしてシンプルな下処理を知っておくことが大切です。
選び方
新鮮なアイスプラントを選ぶ際のポイントは以下の通りです。
- 葉の色: 全体的に鮮やかな緑色をしているものを選びましょう。黄色っぽく変色しているものは避けます。
- ブラッダー細胞: 葉や茎の表面にあるプチプチとしたブラッダー細胞が、しぼむことなくしっかりとしているものが新鮮です。みずみずしく、たくさんついているものを選んでください。
- ハリ: 葉全体にハリがあり、ピンとしているものが良い状態です。しなびているものは鮮度が落ちています。
保存方法
アイスプラントは乾燥に弱いため、適切な方法で保存することで鮮度を保ちやすくなります。
- 冷蔵保存:
- 購入してきたら、洗わずにそのままキッチンペーパーなどで軽く包みます。
- 乾燥を防ぐため、ポリ袋や保存容器に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存します。
- この方法で、3〜5日程度は鮮度を保つことができます。
- 冷凍保存: 冷凍にはあまり適していません。解凍すると独特の食感が失われ、水っぽくなってしまうため、生で食べるか早めに調理することをおすすめします。
下処理
アイスプラントは、特別な下処理はほとんど必要ありません。
- 洗浄: 食べる直前に、軽く流水で洗い流します。ブラッダー細胞は非常にデリケートなため、強く洗いすぎると傷ついてしまう可能性があります。優しく洗いましょう。
- 水切り: 洗った後は、ザルにあげるか、キッチンペーパーで水気を優しく拭き取ります。サラダなどで生で食べる場合は、サラダスピナーでしっかりと水気を切ると、ドレッシングの味が薄まらず美味しくいただけます。
- アク抜き: アイスプラントにはアクがほとんどないため、アク抜きは不要です。
- 塩味の調整: アイスプラントはもともと塩味があります。調理前に少し味見をして、塩味が強いと感じる場合は、さっと冷水に数分さらしてから水気を切ると、塩味が和らぎます。ただし、長く水にさらしすぎると栄養分や食感が損なわれる可能性があるので注意が必要です。
- カット: 大きな葉は、手でちぎるか、食べやすい大きさに切って使用します。
アイスプラントの簡単活用レシピ集
アイスプラントは生でサラダにするのが最もポピュラーですが、加熱しても美味しくいただけます。ここでは、家庭で手軽に作れる活用レシピを3品ご紹介します。
レシピ1:アイスプラントとトマトのシンプルサラダ
アイスプラントのシャキシャキとした食感と、ほんのりとした塩味を存分に楽しめるサラダです。
材料(2人分) * アイスプラント 1袋(約80g) * ミニトマト 6〜8個 * お好みのドレッシング 適量(オリーブオイルとレモン汁、塩胡椒でも)
作り方 1. アイスプラントは優しく洗い、水気をしっかりと切ります。食べやすい大きさに手でちぎります。 2. ミニトマトはヘタを取り、半分に切ります。 3. ボウルにアイスプラントとミニトマトを入れ、お好みのドレッシングを回しかけます。 4. 全体を軽く混ぜ合わせたら、器に盛り付けて完成です。
美味しく作るためのコツ・失敗しがちなポイント * アイスプラントは水気をしっかり切ることで、ドレッシングが薄まらず、シャキシャキとした食感を保てます。 * ドレッシングは控えめに。アイスプラント自体の塩味があるので、かけすぎると塩辛くなる可能性があります。 * 所要時間:約5分
レシピ2:アイスプラントと豚肉のさっぱり炒め
加熱すると、生の時とはまた違った食感と旨味が楽しめます。豚肉との相性も抜群です。
材料(2人分) * アイスプラント 1袋(約80g) * 豚バラ薄切り肉 150g * ごま油 大さじ1 * ポン酢しょうゆ 大さじ1.5 * 酒 大さじ1 * おろしにんにく 小さじ1/2
作り方 1. アイスプラントは優しく洗い、水気を切って、食べやすい大きさに手でちぎります。 2. 豚バラ薄切り肉は3〜4cm幅に切ります。 3. フライパンにごま油とおろしにんにくを熱し、香りが立ったら豚バラ肉を加えて炒めます。 4. 豚肉の色が変わったら、酒を加えて蓋をし、1分ほど蒸し焼きにします。 5. 蓋を取り、アイスプラントを加えてさっと炒め合わせます。 6. 最後にポン酢しょうゆを回し入れ、全体に絡めたら火を止め、器に盛り付けて完成です。
美味しく作るためのコツ・失敗しがちなポイント * アイスプラントは加熱しすぎると独特の食感が失われやすいため、最後に加えてさっと炒める程度にしましょう。 * ポン酢しょうゆの代わりに、醤油とレモン汁、少量の砂糖で和風に仕上げることもできます。 * 所要時間:約10分
レシピ3:アイスプラントとツナの和え物
あと一品欲しい時にぴったりの、電子レンジで簡単に作れる和え物です。
材料(2人分) * アイスプラント 1/2袋(約40g) * ツナ缶 1缶(オイル漬け、ノンオイルどちらでも可) * 醤油 小さじ1 * ごま油 小さじ1 * 白いりごま 小さじ1
作り方 1. アイスプラントは優しく洗い、水気をしっかりと切ります。根元の硬い部分は取り除き、食べやすい大きさに手でちぎります。 2. ツナ缶は軽く油(または水分)を切ります。 3. 耐熱ボウルにアイスプラント、ツナ、醤油、ごま油、白いりごまを入れます。 4. ふんわりとラップをかけ、電子レンジ600Wで30秒〜1分加熱します。アイスプラントが少ししんなりする程度で大丈夫です。 5. 全体をよく混ぜ合わせたら、器に盛り付けて完成です。
美味しく作るためのコツ・失敗しがちなポイント * 加熱時間は短めに設定し、アイスプラントのシャキシャキ感を残すようにしましょう。 * ツナの油分やアイスプラントの塩味があるので、醤油の量は味見をしながら調整してください。 * 所要時間:約7分
まとめ
スーパーで見かける「これ何?」な野菜、アイスプラントは、見た目のインパクトだけでなく、独特の食感とほんのりとした塩味が魅力の美味しい食材です。選び方や保存方法、そしてシンプルな下処理を知っていれば、ご家庭で手軽に楽しむことができます。
生でサラダにするのはもちろん、さっと炒めたり和え物にしたりと、意外と幅広い調理法で活用できます。ぜひこの機会に、アイスプラントを食卓に取り入れて、その美味しさと楽しさを体験してみてください。きっと、新しいお気に入りの食材になることでしょう。